格差社会は何故いつから始まった?

始まりは労働者派遣法の規制緩和

労働者派遣法の規制緩和で民間の活力を引き出すという国の方針もあり、1999年に派遣業種の原則自由化が行われます。さらに、2004年は製造派遣解禁が行われます。企業は営業、販売、一般事務、製造といった専門業務以外でも派遣社員を求め、「アウトソーシング」を経営戦略に組み込むようになりました。

労働者派遣法の規制緩和を受けて、企業は新卒や正規の採用を減らします。その代わりに派遣社員、契約社員といった「非正規社員」を増加させます。
固定費である直接雇用の人件費を、人材派遣の活用で変動費に置き換えたいというニーズが企業側にあったのです。

アウトソーシングとは?

アウトソーシングは外部(アウト)からの調達(ソーシング)を意味します。
元々は、会計・税務などの定型的でかつ外部専門家に任せたほうがコストが安く、高い品質が実現できる業務や、工場の作業外注などの繰り返し作業業務がアウトソースされていました。

時代が一歩進んで、自社の貴重なリソースである社員をより重要な業務につけるために、それ以外の付加価値の低い業務をアウトソースすることが一般化しました。こうして、事務仕事やサポート業務を派遣社員という形態で仕事を任せることが普通になりました。

格差社会の二極化と原因

1990年代末にアメリカで起きたドットコム・バブルに続き、日本でもITバブルが到来し、六本木ヒルズに本社を置くIT系企業経営者や住宅棟の住人などは、勝ち組の象徴として「ヒルズ族」と呼ばれました。
この頃から所得などの二極化が進み、2006年に「格差社会」が流行語になりました。
また、2008年のリーマンショック以降、派遣社員が解雇や雇止めにあって望まない失業をする、「派遣切り」という現象が相次ぎました。このことが、更なる二極化を加速させます。

人材派遣という雇用スタイル

相次ぐ派遣切りを受けて、人材派遣を見直すべきではないかとの議論から、2012年10月「労働者派遣法改正法」が施行されます。
ここでは、日雇い派遣の原則禁止などの労働者保護、直接雇用の促進を意識した規制強化が打ち出されました。

また、2015年9月施行の労働者派遣法改正法では、労働者派遣の期間制限の見直し、キャリアアップ措置、均衡待遇の推進などが打ち出されました。

それでも非正規社員は減らない

改正法により雇用をめぐる問題は解決に向かうと思いきや、非正規雇用者の数は増え続けています。日本の雇用者全体のうち非正規雇用者の割合は1994年以降増え続け、2014年以降は37.5%前後で推移しています。景気が回復してもアルバイト、パート社員が増加しているその背景には、制度だけではなく、技術革新の影響があるというのが最近の論調です。技術革新の変化に対応した働き方が出来る人と出来ない人の間に、新たな貧富の差が生まれているとも言えます。

日本の雇用制度は時代遅れ

卒業予定の学生に一括して求人募集をかけ、在学中に採用試験を行って内定を出し、卒業後すぐに勤務する新卒一括採用は、日本独自の仕組みです。世界のほとんどの国では、若者は企業でのインターン(学生が興味のある企業などで実際に働いたり、訪問したりする職業体験のこと)期間を経て就職し、転職でキャリアアップしていきます。

新卒一括で採用し、終身雇用を前提とした日本企業は、社会人教育や会社への忠誠心を育む場でした。しかし近年は、新卒よりも中途採用を増やす大企業も出てきています。いわゆる就活ルールも廃止の方向に向かっています。

さいごに

かつて先進国の産業は製造業が主体で、それに見合うスキルが必要だった。しかし現在では、主な産業は非製造業に移行しているため、求められるスキルも変わり、それに対応できない労働者の賃金は上がらない。将来の労働者が「AIを使う側かAIに使われる側か」に二分化されると予測される中で、格差社会はますます拡大されていくかもしれない。

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